トヨタGR、5台体制で挑んだダカールラリー2024は3台がトップ10。サテライトのメビウスが総合2位獲得

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By Auto News on Jan 20, 2024 at 4:32 AM
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     1月5日(金)から1月19日(金)にかけて、中東のサウジアラビアで行われたW2RC世界ラリーレイド選手権の2024年シーズン開幕戦『第46回ダカールラリー2024』。“世界一過酷なラリー”とも呼ばれるこの大会に、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は5台のトヨタGRダカールハイラックス・エボT1Uで挑戦した。そのなかで、初めてのダカールラリー参戦となるガイ・ボッテリルと、2021年からTGRでコドライバーを務めてきたブレット・カミングスのコンビが陣営最上位の総合6位を獲得した。

     TGRは今大会、新規定にあわせて改良したトヨタGRダカールハイラックス・エボT1Uの5台体制に加え、大幅に入れ替えたドライバーラインアップで臨み、3台がトップ10フィニッシュを果たした。

     ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス組の総合6位に続いて同7位でフィニッシュしたのはジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組。2009年のダカールウイナーであり、これまで20回のダカール参戦経歴を持つド・ヴィリエールは自身のトップ10フィニッシュ記録を20回へと更新した。

     ステージ3でチームにステージ優勝をもたらしたルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組は、ラリー終盤のステージ10時点で総合3番手につけていたが、ステージ11でアクシデントに見舞われ無念の後退。それでも最終結果では9位に入った。

     ダカール史上最年少でのワークスドライバーとなった18歳のサオード・ヴァリアワは、コドライバーのフランソワ・カザレと組んで参戦。序盤は苦しんだものの、ステージを重ねるごとに強い走りを見せ、見事16位でフィニッシュした。今年からTGRに加わり、21歳ながらすでにダカールでの経験も豊富なセス・キンテロはデニス・センツと組み、初めてアルティメットクラスに挑んだ。2023年のW2RC・T3チャンピオンは光る速さを見せたものの前半戦のアクシデントで上位争いから脱落し、その後はシリーズ参戦するW2RCポイントとチームメイトのアシストのためにゴールまで走り切った。

     プライベーター含むトヨタ・ハイラックス勢としては、オーバードライブ・レーシングのギヨーム・ド・メビウス/ザビエ・パンセリ組(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)が総合2位に入り表彰台を獲得している。

     また、トヨタ車体のラリーチーム、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)から“ストック”と呼ばれる市販車部門に参戦したランドクルーザー300 GRスポーツは、社員ドライバーの三浦昂/マイヨール・バルベ組が市販車部門でクラス首位、チームメイトのロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組がクラス2位でフィニッシュ。TLCは市販車部門で11連覇を達成した。日野チームスガワラから日野600シリーズで、“カミオン”ことトラック部門に参戦した菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組は、排気量で上回るライバル勢との激戦を戦い抜き、トラック部門総合6位で見事完走を果たした。
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    ステージ12で2番手タイムを記録し、総合順位でも2位となったギヨーム・ド・メビウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)
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    日野チームスガワラの菅原照仁(日野600シリーズ) ダカールラリー2024

     TGRチームとともにダカールラリー2024を戦い抜いた5組のクルーによるステージ11~12の各車レポートは以下のとおりだ。

    * * * * * * *

    【ステージ11】


     1月18日(木)のステージ11は、アルウラからサウジアラビア西海岸の都市ヤンブーへと移動する、競技区間420km、総走行距離527kmで争われました。

     長いダカールラリーもこの日が最後の長距離での戦い。この日もハードなステージで、多くの競技者が苦しみ、波乱が起こりました。TGRのクルーも例外ではなく、残り2日というところで試練のステージとなってしまいました。

     ステージ10を終えた時点で、TGR勢最上位の総合3番手を走行していたモラエス/モンレオン組は、表彰台目指し走行。2番手を走行するバーレーン・レイド・エクストリームのセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)がトラブルでタイムロスしたことで、一時は総合2番手への期待も高まりましたが、荒れた路面でダンパーとサスペンションアームの破損に見舞われ、チームメイトのアシストを待つこととなり、大きくタイムを失ってしまいました。このタイムロスにより、モラエス/モンレオン組は総合9番手へと後退を余儀なくされ、表彰台への望みは絶たれてしまいました。

     一方、このステージではルーキーのヴァリアワ/カザレ組が好走を見せ、順位を上げました。彼らはモラエス/モンレオン組をアシストするために何度も停止し、自らもパンクに見舞われましたが、この日首位から12分37秒遅れの5番手タイムでフィニッシュ。総合順位も18番手に上げました。

     ボッテリル/カミングス組もクリーンな走りで、モラエス/モンレオン組のサポートのために約10分間ストップしながらも、10番手でフィニッシュ。モラエス/モンレオン組の後退により、ボッテリル/カミングス組はTGR勢最上位の6番手に浮上しました。

     ベテランのド・ヴィリエール/マーフィ組にとっても厳しいステージとなりました。モラエス/モンレオン組をサポートするためにタイムをロスし、39分24秒遅れの22番手でフィニッシュ。それでも総合では7番手につけています。

     上位争いからは脱落したキンテロ/センツ組は、チームメイトのアシストに転じ、パーツを運ぶ役に徹しました。モラエス/モンレオン組の車両に自分たちのダンパー及びサスペンションアームを提供、これにより大幅なタイムロスとなり、48番手でステージを終えました。
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    表彰台圏内の3番手につけていたルーカス・モラエス(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U)もトラブルで後退する憂き目に

    【ステージ12】


     1月19日(金)最終日となるステージ12は、ヤンブーのビバークからループ上のコースを走り、ヤンブーへと戻るループステージ。競技区間175km、総走行距離328kmと短いものの、2024年のダカールは最後までタフなステージとなりました。

     TGR勢最上位の6番手につけるボッテリル/カミングス組は、序盤にパンクを喫するも、その後は慎重なペースで走り抜き、首位から10分52秒遅れの18位でフィニッシュ。総合6位のポジションを守り、ダカールラリー2024でのTGR勢最上位フィニッシュを果たしました。

     ド・ヴィリエール/マーフィ組はこれに続く19位。モラエス/モンレオン組が8分20秒遅れの11位。キンテロ/センツ組は13位、ヴァリアワ/カザレ組も22位と着実に最終ステージをフィニッシュ。TGRのGRダカールハイラックスEVO T1Uは、5台揃って完走を果たし、ヤンブーの海岸沿いに設営されたゴールポディアムでのセレモニーでフィニッシュを祝うとともに、タフな2週間の健闘をたたえ合いました。
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    サオード・ヴァリアワ(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

    ■ダカールラリー2024 ステージ10終了時点の順位(T1Uクラス)

    総合順位 ドライバー/コドライバー 首位との差
    6位​
    #243 ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス
    +2h40’33​
    7位​
    #209 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
    +2h50’26​
    9位​
    #206 ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン
    +3h03’12​
    16位​
    #226 サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ
    +5h54’41​
    42位​
    #216 セス・キンテロ/デニス・センツ
    +69h04’43​

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    ●シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表)


    「ダカールラリー2024がフィニッシュを迎えたが、ご存じの通り、浮き沈みの激しい展開となった。良いこともあれば悪いこともあり、チャレンジングで、困難なラリーだった。残念ながら昨日のステージ11で表彰台フィニッシュの夢は潰えたが、さらに強くなるために戦い続けるよ」

    ●アラン・デュハディン(TGR W2RCチーム代表)


    「素晴らしい結果だったと思うよ。TGRの5台全てが完走したことはもちろん、最終結果でトヨタ・ハイラックスの1台がトップ3,2台がトップ5、そしてトップ10には6台が入りました。これはトヨタブランドにとって大きな成果であり、品質と耐久性、信頼性を証明できたと思う」

    ●ガイ・ボッテリル 243号車


    「今日のステージでも序盤からパンクに見舞われたので、その後はペースを落として、気楽に走るだけだった。ブレットはラリーを通して信じられないほどの働きをしてくれたよ。初めてのダカールラリーで完走できたことも信じられないのに、トップ10でしかも6位でフィニッシュできたなんて、夢のようだよ」
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    TOYOTA GAZOO Racing勢の中で最上位となったガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス組(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

    ●ジニエル・ド・ヴィリエール 209号車


    「望み通りの結果にはならなかったが、完走は果たすことができた。素晴らしい働きをしてくれたチームに感謝したい。今年もダカールが終わった。コ・ドライバーのデニス、そして、クルマに携わったメカニック達にも感謝しているし、今年は本当にタフなラリーでしたが、完走できてとても嬉しいよ」

    ●サオード・ヴァリアワ 226号車


    「信じられない!4500km以上の純粋な戦いで、本当に、本当にタフな、世界で1番タフなラリーだったよ。想像もできなかったことばかりだったが、最後まで走りきることができた。やるべきことはできたように思う。僕の目標は完走であり、それを達成できた。くわえて、幾つかのステージでは好結果も残せた。18歳でワークスチームの一員として、ダカールラリーを完走できるなんて本当に信じられないよ。チームと、この機会を与えてくれたトヨタ、そして、コドライバーと家族に感謝の気持ちを伝えたい」

    ●ルーカス・モラエス 206号車


    「正直なところ、今思い返せば、私にとって2度目のダカールラリーでトップ10フィニッシュを果たせた、それだけでも十分信じられないことだ。もちろん、昨年は3位だったので、今年はそれ以上の結果を目指していた。一度ヘルメットを被ってしまえば、あとはアクセル全開で走りたい、それだけだったんだ。今日のステージ12では、砂埃に苦しめられ、残念な結果だったが、とても楽しめたし、何度もプッシュした。全体的に見て、完走できたことをうれしく思っている。素晴らしい働きをしてくれたTOYOTA GAZOO Racingチーム全員と、全てのパートナー、メディア、そして、ブラジルで応援してくれたファンの皆さまに感謝するよ」

    ●セス・キンテロ 216号車


    「タフなラリーだったことは確かで、望んだ結果ではなかった。しかし、今にして思えば、多くのことを学ぶことができたし、また、多くのテストや開発などに関わったことで多くの楽しさを味わうことができた。全体的に見て、素晴らしい2週間だった。次のラリー、そして来年のダカールが待ちきれないよ」
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    ダカールラリー2024を戦い終えたTOYOTA GAZOO Racingの選手たち

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