2023年F1各マシンのシーズン通しての変化を、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルがまとめた。今回は、アストンマーティンAMR23がシーズン後半に失速した要因を伝える。
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バーレーンでの開幕前テストで、アストンマーティンは驚異的な速さを披露した。そして開幕戦バーレーンGP予選で、新車AMR23は、前年よりも2.4秒も速いラップタイムを叩き出したのだ。レッドブル時代にエイドリアン・ニューウェイの右腕として活躍し、新たにテクニカルディレクターに就任したダン・ファローズの手腕に偽りはなく、アストンマーティンはシーズン序盤はグリッドで2番目の速さを維持し続けた。
しかしレースが進むにつれて、メルセデス、フェラーリ、マクラーレンがマシンの初期のミスを修正。アストンマーティンの競争力は相対的に低下していった。こうして、シーズン前半の8レースで6回表彰台に上がっていたのが、その後の14戦ではわずか2回にとどまった。
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アストンマーティンAMR23
何が起きたのか。ひとことで言えば、シルバーストンの空力専門家たちは、誤った方向に開発を進めてしまったのだった。「空力シミュレーションツールが示した指標と、サーキットでの実走データとがまったく違っていた」と、副テクニカルディレクターのエリック・ブランディンは回想する。
下の画像が示すように、開発エンジニアたちはサイドポッド下のフロア形状に繰り返し変更を加えた。それが意味するのは、ボディワークのこの部分で何かが完全には機能していなかったということだ。
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アストンマーティンAMR23の変化
さらにシーズン中盤以降の彼らは、車体をサーキットの特性に合わせるために重要なセッションとなるフリー走行で、2024年マシン開発に向けたデータ収集を優先するという大きなミスを犯した。
「スプリントフォーマットでフリー走行が1回しかない週末でも、我々はいくつかの新機能を導入することに熱心だった」と、パフォーマンスディレクターのトム・マッカローは語る。
「2024年用のアイデアを研究、確認するものだった。しかし今思えば、それは明らかに誤ったアプローチだった。そのおかげで、AMR24のコンセプトは洗練させることができたけれどね」
つまり2023年のアストンマーティンAMR23は、素性は悪かったものの並外れた開発のおかげで大変貌を遂げたマクラーレンMCL60と真逆の開発曲線を辿ったということだ。
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2023年マクラーレンとアストンマーティンのPPとのタイム差(%)
シーズン中のアップデートが中途半端だったために、彼らはAMR23に潜む弱点を最後まで解消することができなかった。ハイダウンフォースを必要とするサーキットで速さを発揮すれば、高速コーナーで苦しみ、低速コーナーと高速コーナーの両方で高いパフォーマンスを発揮するようなセッティングを見つけることができなかった。
「新世代のグランドエフェクトマシンでは、低速、高速の両方のコーナーで高い競争力を持つことは、車高の点で非常に難しい」と、マッカローは分析する。「車高を低くすることで、ポーパシング現象がどうしても出てきてしまうからだ。すでに導入から2シーズンの開発を経た今も、あらゆるチームがこの問題に直面している」
「なかでも我々は、この問題に手こずり続けた。そのため レースごとに、低速用、高速用と、多くの部品を変更する必要があった」
「しかし2024年に向けては、リヤウイングとフロントウイングを交換するだけであらゆるサーキットに対応でき、どんなコース特性でも競争力のあるクルマを開発しようとしている」
とはいえこの冬、アストンマーティンの新車AMR24が、去年ほどの目覚ましい飛躍を遂げる可能性は低いように思われる。AMR23の速さは果たして単なる僥倖に過ぎなかったのか、それともアストンマーティン栄光の時代の始まりだったのか。その答えは、今季わかるだろう。
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2023年F1第21戦サンパウロGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
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2023年F1第21戦サンパウロGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が3位
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【F1チーム別技術レビュー:アストンマーティンAMR23】2番手から転落。オールマイティな速さを生み出せなかった要因
Discussion in 'News and Articles' started by Auto News, Jan 18, 2024.
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