ダカールラリー:トヨタGR、ラリー後半戦で苦戦も表彰台圏内の総合3番手で残り2ステージへ

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By Auto News on Jan 18, 2024 at 4:23 AM
  1. Auto News

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     中東のサウジアラビアで1月5日から開催されている、W2RC世界ラリーレイド選手権第1戦『第46回ダカールラリー』に参戦中のTOYOTA GAZOO Racing。計5台のトヨタGRダカールハイラックス・エボT1Uを“世界一過酷なラリー”に投入している同チームでは、タフな路面状況での激しい争いが繰り広げらなかルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組が総合3番手につけている。

     また、チームメイトでベテランのジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が総合8番手、ダカール初出場ドライバーのガイ・ボッテリルと経験豊かなコドライバーのブレット・カミングス組のペアが総合9番手と、5台中3台がトップ10圏内を走行中だ。ダカール史上最年少ワークスドライバーの一人として初めてのダカールに挑む、18歳のサオード・ヴァリアワとフランソワ・カザレ組、そして、T1クラスへステップアップした期待の21歳のセス・キンテロ/デニス・センツ組も走行を続け、この過酷なラリーでの経験を積み重ねている。

     残り2日となったダカールラリーで奮闘する5組のステージ6からステージ10の各車レポートは以下のとおりだ。

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    【ステージ8】


     1月15日(月)のステージ8は、アル・ダワディミのビバークからハイルへ、競技区間は458km、総走行距離678km。砂丘主体から石の多い路面に変わり、パンクのリスクも高い、難しいコースでした。

     TGR勢最上位の総合3番手につけるモラエス/モンレオン組は前日のステージ7で2番手フィニッシュと好調。このステージ8もスムーズな走行を続けましたが、コースを切り拓いていく役目を強いられることになり、最終的には首位と9分51秒差の7番手でフィニッシュ。総合3番手を堅守しました。

     キンテロ/センツ組は総合争いからは脱落したものの、W2RCポイント獲得のために走り続けており、このステージ8では首位と7分52秒差の5番手フィニッシュ。シーズンを戦っていく上で貴重なW2RCポイントを1点追加しました。

     2009年のダカールウィナーであるド・ヴィリエール/マーフィ組はクリーンな走行を続け、ゴール付近の荒れたセクションでのパンクを嫌いタイムロスしましたが、首位と10分18秒差の9番手でフィニッシュし、総合5番手をキープ。

     ルーキーのボッテリル/カミングス組は18番手フィニッシュ。好調な走行を続けるも、ステージ最後にパンクを喫し2分をロス。砂丘での経験が少ないボッテリルですが、このステージでは速いライバルを追走し、多くの経験を積みました。

     同じくルーキーのヴァリアワ/カザレ組は、第7ステージをトラブルで大きく順位を落としたことで、後方からのスタートとなり、埃の多い中での走行を強いられたましが、クリーンな走行で首位から18分9秒遅れの19番手。総合では20番手につけています。

     TOYOTA GAZOO Racingは、ステージ2のクラッシュによりスペイン人ライダー、カルロス・ファルコンが逝去されたことを悼み、彼のご家族と友人に心から追悼の意を表します。彼の訃報を悲しみとともに受け止めましたが、彼の精神はダカールラリーのような競技を戦うすべての競技者に生き続けていると信じています。
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    ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

    【ステージ9】


     1月16日(火)のステージ9は、ハイルからアルウラへと向かう競技区間436km、総走行距離661kmのロングステージ。序盤の砂丘から、後半は岩の山越えなど、ナビゲーションの難しいステージでした。

     この日TGR勢最速だったのはルーキーのボッテリル/カミングス組。クリーンな走りでトップと10分1秒差の5番手でフィニッシュ。モラエス/モンレオン組も、ステージの大半を上位グループと共に走行し、首位から11分3秒遅れの7番手とまずまずの結果で、総合3番手の座を守りました。
     
     一方、ド・ヴィリエール/マーフィ組は快調なスタートを切りましたが、ステージ中盤のウェイポイントでミスしタイムロス。折り返す前に次のウェイポイントを通過してしまい、ステージは首位から19分14秒差でフィニッシュしたものの、ウェイポイント不通過による15分のペナルティを加算され、総合では5番手から8番手へとポジションダウンを余儀なくされてしまいました。

     ヴァリアワ/カザレ組はステージ8に続き着実な走りを見せました。水圧センサーのトラブルに見舞われ、確認のため停止しタイムを失いましたが、それでも首位から19分50秒差の13番手でフィニッシュしました。

     W2RCポイント獲得のために走行を続けているキンテロ/センツ組は、ステージ9ではナビゲーションに苦戦し、加えてメカニカルトラブルでペースを上げることができず、20分21秒遅れの15番手と無念の結果に終わりました。
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    ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

    【ステージ10】


     ステージ10はアルウラのビバークをスタート/ゴールとするループステージで、競技区間371km、総走行距離612km。この日はゴールへ向けて総合上位争いを繰り広げている、TGRを含めた多くの競技者にとって厳しい一日となりました。

     この日TGR勢で最速フィニッシュを果たしたのはヴァリアワ/カザレ組。着実に学びながらペースを上げてきた彼らは、首位から13分1秒遅れの11番手でフィニッシュしました。

     今大会、TGR勢を引っ張り総合での表彰台を争っているモラエス/モンレオン組は2度のパンクに見舞われスローダウン。また、燃料圧力系統のウォーニングも発生しましたが、迅速にシステムリセットを行ったことで復帰し、チームメイトから1分29秒遅れの12番手でフィニッシュ。総合3番手のポジションを守りました。総合4番手とは25分ほどの差となっており、残り2日間、これを守り切っての表彰台フィニッシュを目指します。

     ステージ9で速さを見せたボッテリル/カミングス組は、この日は運に恵まれず、序盤からナビゲーションのミスでタイムを失い、首位から20分ほど遅れての19番手。総合では9番手につけています。

     ド・ヴィリエール/マーフィ組はステージ中盤で2度のパンク。スペアタイヤを使い切り、後半は慎重なペースでの走行を余儀なくされました。彼らのGRダカールハイラックス・エボT1Uはリヤダンパーに関する実験的なセッティングを試していましたが、そのことでハンドリングが乱れ、パンクに陥ったと考えられます。ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位から26分56秒遅れの23番手でフィニッシュ。総合順位では、9番手のボッテリル/カミングス組から7分ほど前の8番手。

     キンテロ/センツ組はこのステージ、ロードブックにない急な崖越えに遭遇し、ハードな着地を強いられた結果、両方のリヤダンパーを破損。修復不可能なダメージだったため、チームのテクニカルトラックによるアシスタンスを待つこととなりました。この日はデイリタイアとなりましたが、車両修復後にラリーには復帰し、最後の2日間もW2RCのポイント獲得を目指しアタックすることとなります。

     キンテロとセンツは、走行不可能になった直後、崖の上で後続に危険を知らせ、多くのクルーが同じ状況にならないようサポートしました。チームにとっては残念な結果となりましたが、ダカールラリーの精神とも言える彼らの仲間意識に敬意を表します。

     2週間にわたり戦われているダカールラリー2024も残すところ2ステージ。ステージ11はアルウラからサウジアラビア西海岸のヤンブへ向かいますが、岩の多いロングステージが残っており、最後まで気の抜けない戦いが続きます。
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    ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

    ■ダカールラリー2024 ステージ10終了時点の順位(T1Uクラス)

    総合順位 ドライバー/コドライバー 首位との差
    3番手​
    #206 ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン
    +1h02’44​
    8番手​
    #209 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
    +2h17’20​
    9番手​
    #243 ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス
    +2h24’26​
    18番手​
    #226 サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ
    +5h47’25​
    43番手​
    #216 セス・キンテロ/デニス・センツ
    +66h52’49​

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    ●シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表)


    「ひとつだけ言えるのは、ダカールラリーで確実なことなど何もないと言うことだ。今日のステージでも我々のクルーは難しい戦いを続けており、それは明らかだ。このタフな戦いを続けているクルーを誇りに思う。残りは2ステージのみだが、良い結果を期待している。我々のGRダカールハイラックス・エボT1Uはダカールラリーという困難な舞台でも充分に戦えるということは証明された。残りの2日間も楽しみだよ」

    ●アラン・デュハディン(TGR W2RCチーム代表)


    「今日の結果はやや期待外れに見えるかも知れないが、ルーカスとアルマンドのパフォーマンスには満足しており、明日のトリッキーなステージへ向け、完璧に近いスタートポジションを得ることができた。同時に、セスとデニスは危険な崖からの転落でリヤダンパーを破損したが、そのことを後続のクルーに警告し、真の仲間意識を示してくれ。チームとして、我々はセスとデニスのトラブルから学び、さらに“もっといいクルマづくり”にその知見を活かしていきます」




    ●ガイ・ボッテリル 243号車


    「今日も非常に難しいステージだった。スタート順が早かったこともあり、序盤からコースを見つけるのに苦労したよ。450kmもの競技区間の間、岩が多くミスを犯しやすいコースで砂埃の中を走らざるを得ず、とても大変だった。しかしペースは悪くなかったと思うし、我々の速さは総合成績には現れていないが、ずっとアウディ勢と一緒に走っていた。ルーカスは我々の前を走っていたが、彼らがパンクを喫したためパスした。残念ながら、序盤に大きくタイムをロスしてしまった」

    ●ルーカス・モラエス 206号車


    「我々にとって、今日のステージは緊張の連続だった。2度パンクしてしまったが、ずっと同じように走っていたので、正直なところどこでパンクしたのかわからない。そして、ゴールまであと10kmというところでクルマが止まってしまいまったが、システムをリセットして、また走りだすことができた。なんとかまだ我々はこのポジションにいるし好調だ。総合3番手を守るために残り2ステージも戦い続ける。おそらく今日のトラブルで8分くらい失ったと思うけど、何もなければトップ5には入れただろう。でも今日の結果により、明日へ向けては絶好のスタートポジションにつけることができた。我々を総合順位で追っているライバル勢が前からスタートするので、彼らのペースを見ながら走ることができるはずだ」

    ●ジニエル・ド・ヴィリエール 209号車


    「タフなステージだった。リヤダンパーを変えてみたのだけど、それがさらに厳しい結果となってしまった。セッティング変更は効を奏さず、スタートしてわずか30kmほどで2回のパンクに見舞われてしまった。スペアタイヤを使い切ってしまったので、その後はペースを大幅に落として慎重に走らざるを得なかったんだ。他にどうすることもできなかった」

    ●サオード・ヴァリアワ 226号車


    「スタートして10kmほどでパンクに見舞われ、タイヤを交換した。その時にゲラン・シシェリ(オーバードライブ・レーシング)に抜かれ、その後はずっと彼らと一緒に走っていた。その後、彼らもパンクしたために今度は我々が前に出ることになった。60kmから80kmほど一緒に走ったあと、彼らはペースを上げた。でも僕は肩の痛みに苦しんでおり、ペースを落とさざるを得なかった。体調は良くなってきたけどまだ肩が痛いんだ」

    ●セス・キンテロ 216号車


    「すべてが順調で正しいコースを走行していた。しかし、ロードブックにない危険なポイントがあり、大きな段差を落下して激しくヒットしてしまった。上位勢が通過したときにはじいた岩が我々のクルマに当たったのだと思う。落下自体はそれほど激しくなかったが、岩にヒットしたことで今日の僕たちのレースは終わってしまった。それほど激しい衝撃ではなかったのに、リヤダンパーが2本とも壊れてしまった。その後、後続車が同じミスを犯さないよう、1時間か2時間、その場所で座っていた。今日は望んでいた一日にはならなかったね」
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    サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

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